赤血球、ヘモグロビンの働き

赤血球は8μmの円板状をしており、核やミトコンドリア等の細胞内小器官を持っていません。1個の赤血球は30pg前後のヘモグロビンを含んでいます。
赤血球の数は、正常成人男性で約500万/mm3 正常成人女性で約450万/mm3 前後と言われています。
血液の総容積に対する赤血球の相対的容積をヘマトクリット値といい、成人男性で約45%、成人女性で約40%であります。

ヘモグロビンの構造
ヘモグロビンは分子量約64000の球状色素タンパク質であります。ヒト成人のヘモグロビンはα鎖、β鎖、各々2本のグロビンからなる4量体(サブユニッ ト)から構成されており、各サブユニットに1個のへムと呼ばれる色素部分が結合しています。へムは中央に鉄をもつプロトポルフィリン複合体であります。ヘ ムに存在する鉄は2価の状態で酸素を可逆的に結合します。α鎖とβ鎖は、一次構造であるアミノ酸配列が非常に類似していますが、この構造をヘモグロビンA といいます。



















酸素とヘモグロビンは強い親和力をもっていますが、周囲の酸素分圧の影響をとても受け易いです。酸素分圧を横軸にヘモグロビンの酸素飽和度を縦軸にとって その関係を表したものをヘモグロビンの酸素解離曲線といいます。酸素解離曲線はS字状になっており、酸素分圧が低くなると、酸素とヘモグロビンの親和性が 低くなります。また酸素と結合しているヘモグロビンの量は酸素分圧の上昇とともに上昇します。
















ところで、この曲線が右方に偏位すると一定量の酸素とヘモグロビンが結合するためには高い酸素分圧が必要になります。またこの曲線が左方に偏位すると低い 酸素濃度でも結合しやすいことになります。ここで二酸化炭素分圧の影響を見てみると、肺胞の中では、酸素分圧は約100mmHgで二酸化炭素分圧が低くな るので酸素とヘモグロビンの親和性が高くなって、ヘモグロビンの70%以上はオキシヘモグロビンとなります。末梢神経における酸素分圧は40mmHg、逆 に二酸化炭素分圧が46mmHgとなり酸素解離曲線が右に移動するのでヘモグロビンから酸素が解離しオキシヘモグロビンは60%以下に減少します。つま り、ヘモグロビンは末梢神経に酸素を供給しやすいようにできています。

ヘモグロビンは、へムとグロビンが別々に作られます。グロビンは、細胞質で作られますが、へムはミトコンドリアと細胞質を行き来しながら合成されて細胞質でグロブリンと結合します。
寿命を全うした赤血球は、脾臓などの食細胞系に取り込まれ分解されます。ヘモグロビンはへムとグロビンに分離し、さらにへムから外れた鉄はヘモグロビン合 成に再利用されます。へムのプロトポルフィリン部分は間接ビリルビンとなり、肝臓で直接ビリルビンとなり胆汁中に排泄されます。ヘモグロビンは、1日で約 7gが分解され、それから約250mgのビリルビンが作られます。
ビリルビンは、腸内の細菌の作用でウロビリノーゲンとなる。その大部分はそのまま糞便中に排泄されますが、一部は腸から再吸収されて血中を流れて、再び肝臓を経てべんに排泄されるが、または腎臓から尿に排泄されます。
尿や糞便が黄色いのはウロビリノーゲンの代謝産物によるものです。


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